先日何十年振りに、懐かしい車とすれ違った。
ホンダ・S800だ。通称 エスハチ。
1960~70年ごろ、ホンダが発売したスポーツカーだ。
中学の体操部仲間に、この車に魅入られた友人がいる。
彼が大学時代にエスハチを組み立て、東京まで自慢しにくることになった。
名神、東名をぶっ飛ばして颯爽とやってくる・・・はずだったのだが・・・
朝方電話がかかってきた。当時は携帯電話などない時代なので、公衆電話からだったのだが
やけに10円玉がはやく落ちていく音がする。
「今どこや?」
「静岡過ぎたとこ」
「遅いなぁ」
「事故った」
「えっ!大丈夫か?怪我してないのか?」
「わやくちゃでボロボロや」
「どこ怪我してん?」
「車が・・・かわいそうに・・・死んどるよ」
東名高速の出口まで迎えにいった。体は大丈夫そうなのだが、なぜか友人は笑ってた。
「居眠り運転のトラックに追突された。原子炉の蓋積んでたトラックや。追突されて前のトラックの
バンパーの下に突っ込んだ。あかん、死ぬ!・・・ガハハハハハ」
なぜか彼は笑いだした。?????
「あんな、ははは・・・ほんま笑うで。突っ込んだとき、フロントガラスが割れて死ぬと思った瞬間
ポコって音がしてな、フロントガラスがそっくり外れたんや。建てつけが悪かったんやろな。」
その夜、私の下宿に来て酒を飲んでた時に・・・・・彼はずっと悔んでいた。
「何がわるかったんやろなぁ?三年やで。三年かけて完璧に仕上げたのに、なんで外れたんやろ。
おかしいなぁ。接着剤が乾いてなかったんかな?斑があったんかな?」
フロントガラスが外れたおかげで、命が助かったというのに、彼は車の不備に不満があるらしい。
後日連絡があった。
ぐちゃぐちゃになった車体が運ばれてきたそうだ。すると・・・
「部品たりるかなぁ?もう一回組み立ててみるわ。」
彼は今中国で仕事をしている。自転車に乗って通勤しているそうだ。
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