子供ミュージカルの作品に出演した時だった。台本製作のお手伝いをしたことがある。
作家から意見を求められたのだが、ことごとく・・・「う~ん」と。
子供が対象の時には通常より制限が多いらしい。
まず、人は殺さない。残虐のシーンはNG。
ストーリーは解りやすく、楽しく笑えるシーンを半分ぐらい入れるそうだ。
上演時間は、その当時(今もかも)授業時間に合わせて、45~50分(一幕)
そして最後に夢を抱いてもらえるシーンが必要になってくる。
そんな沢山の制限のなかで、台本が仕上がってくる。ところが・・・・・
「むかしむかし象が来た」(今は「九郎エ門」かな?)の作品に出演することになり台本を読んだ。
「いいのか?これ初演の時大丈夫だったんですか?」と先輩に思わず尋ねた。
なんと劇中で象が死んでしまうのだ。
当時も相当ご苦労があったようだ。
客席で子供達が声を出して泣いてしまい、たいへんだったそうだ。
勿論作り物なのだが、鼻も瞼も耳も尻尾も動くし、涙まで流すのだ。
一緒に舞台に立っていると愛着がわく。しかも・・・・・
この象、九郎エ門の生みの親である美術のかたが、稽古中に不慮の事故で亡くなられた。
とても複雑な心境だった。
俳優は観察力が必要な職業だ。
この作品に関わった時に、何度か動物園に足を運んだ。
猫の役がついた時は、近所の猫を追いかけまわし、馬が重要な作品では、乗馬場にも通った。
動物園の象の前で観察したことは、動きやしぐさではなかった気がする。
いろんなことが重なっていた時期だったので、自分の心の整理をしていたのだと思う。
共演者はみんな人間とは限らない。
俳優さんが一番苦手とする共演者は、子供と動物。
芝居がくわれるからと。
私もいろんな人達と舞台に立って影響は受けたが、美術?に心を動かされた自分に驚いた。
後日、観劇した子供たちから作文が届いた。
「家族がいなくなるのは淋しいです。」とか「お墓はどこにありますか?」とか。
真っ直ぐな感想が寄せられた。
一方子供たちは遠慮などなく感じたことを口にする。
開演してすぐに一番前に座っている子供が必ず浴びせる言葉がある。
「あぁ、おっさんや。」 「大人がやってるんか。」等など。
ある日・・・
「あぁ、すね毛はえてる!」
不覚にも笑ってしまった。
何本か子供ミュージカルに出演したが、それぞれに思い出がある。
また、地方によっては反応する場面がちがうのだ。
そしてなによりも教えられたのは、子供たちは自分の興味のある人物を追っかけて見る。
それは主役とかアンサンブルとか関係ないようだ。
しかも細部にわたってみている。
子供たちの前に立つと、いい意味の緊張感がある。
重厚な芝居。大人向きのミュージカル。
私はなぜか子供ミュージカルが好きだった。
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