おくどさんと五右衛門風呂

何十年ぶりかに懐かしい言葉を耳にした。

先日TVで、「銀シャリ屋」の話が放映されていた。

自然の井戸水と自家製釜で炊き上げる、ご飯一筋の店が閉店する。

ご主人の口から、「おくどさん」の言葉が。

四十年ぶりに耳にした言葉だ。

「おくどさん」

ご飯を炊く釜のことだ。

 

父の故郷 津幡の家は、とても古い造りでとにかく広かった。

土間にふたつの大きな釜があり、毎食その釜でご飯を炊いていた。

土壁でできていた釜に、最初は藁に火を付け、薪にうつす。

時間はかかるが、美味しいご飯が炊きあがる。

母の口癖。

「お家にもおくどさんがあったら、毎日おいしいご飯が食べれるのに。」

 

おおきなお屋敷のような家だったが、お風呂がなかった。

いつも父と近所の銭湯に行っていた。

その銭湯には・・・・・

おおきな浴槽の横に、なんと「五右衛門風呂」があった。

最初私はお風呂の浴槽の前に、なぜ木製のゲタが置いてあるのかが・・・???

「五右衛門風呂」 幼い私には、おくどさんにみえた。

 

今でもきっと何処かで使われている言葉だろうし、釜でご飯を炊いている土地もあると思う。

夏休みに遊びに行った「おばぁちゃんの家」には、いくつもの思い出がある。

冷たい井戸水につけたスイカ。

おくどさんで炊いたご飯。

お風呂屋さんの五右衛門風呂。

豚さんの香取せんこうたてと蚊帳。

 

昭和三十年代の思い出が、懐かしい言葉を聞いてよみがえってきた。

 

 

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