歌、唄は奏でる Ⅰ

 

今日から何回かにわたって歌の話しをしょう。

 

ミュージカルがしたいがために東京に行き、レッスンを始めた。

クラシックバレエ、ジャズダンス、タップダンスと稽古場を探し、順調にレッスンをしていた。

残るは歌だ。

当時私は親からひと月 50000円の仕送りをしてもらっていた。

新大阪ー東京間 10000円弱 お風呂屋さんが 40円の時代だ。

いろんな人に聞きまくった。条件は 10000円までで。

家賃が 20000円 その他のレッスン代が 28000円 深夜~朝方までバイトをして

なんとか捻出できる金額がそれしかないのだ。 聞けば歌のレッスンは高いらしい。

 

ある日バレエのレッスン後に、新宿コマダンサーのお姉さんが、

「広瀬君、いい先生いるわよ。ただ・・・ちょっと怖いけど。」と。

山下美音子先生。 劇団をご夫婦でなさっている。

さっそくコンタクトを取り、明大前のご自宅にレッスンに行った。

一目みた瞬間・・・  「やったぁ 怖そう。上手くなれる!」だった。

丸いお顔にギョロッとした目。ポッチャリ体型でハスキーボイス。

儀礼的なあいさつを交わすと、さっそくレッスン。発生練習だ。ただひたすら声を出す。

15分後 ピタリとピアノが止まる。そして一言。

「ひどいねぇ あんた。」 ひぇ~・・・・・・・・ 

レッスン中断。そして・・・質疑応答タイム。

「なぜ習いにきたのか?」「何になりたいのか?」「誰をめざしてるのか?」「生活は?」等など。

まるで面接だった。そして突然・・・

「7000円」

「はぁ? 一回 7000円ですか?」

「バカ そんな高いわけないでしょう。一か月 4回 7000円 マッサージ付き あぁ 2回ね。」

当時大学でスポーツマッサージの講義を受けている話しをしたからだ。

「私 肩こり凄いの。」

私はすんなりOKしたのだが、これがまた本当に凄い肩こりを後で知ることになる。

一日最低でも、7~8人の稽古をつけているのだから、当たり前と言えば当たり前だ。

マッサージ付きレッスンの日は、決まって一番最後。夜 19時からのレッスンだった。

だぶん金曜日だったと思う。

てっきり私はあくる日が休みだからと思っていたのだが・・・・・

山下先生について行こうと思ったのは、後日談からだ。

2週間に一度先生は、ご自分のピアノのレッスンに行かれるそうだ。それが土曜日。

私がマッサージをした次の日だ。一度訊ねた事がある。

「なぜピアノのレッスンにいかれるのですか?」

「え?」

愚問だった。歌のレッスンに来る生徒のためににきまっている。

 

こうして、一月 4回 1時間 7000円 40分のマッッサージ付きのレッスンがスタートした。

罵声とお腹へのパンチが飛び交うレッスン。

 

   次週につづく・・・

 

 

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